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役員の員数と辞任、退任の可否

■役員の員数はどのように定められているか

会社法では、設置機関などによって役員の員数が法定されることがあります。

例えば、取締役会を設置していない会社では取締役が最低1名いれば問題ありませんが、取締役会を設置しようとする場合、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要になるのが原則です。これは会社法で定められているものになります。

会社法の他にも、定款によって役員の員数や任期などが定められている場合も多くあります。会社のルールとして定款を定めている以上、こちらも遵守すべき内容となります。
(なお定款については、会社法に反しない限り、株主総会で変更することが可能です。)

■役員の員数と役員変更時の注意点

したがって役員に変更があった場合は、会社法と定款の規定双方に留意する必要があります。特に、「任期満了による退任」、「辞任」が発生した際には、注意が必要となります。それが会社法第346条1項に書かれています。


役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。(会社法第346条1項より抜粋)


つまるところ、「任期満了による退任」や「辞任」によって役員がいなくなることで、その結果として員数を下回る場合、後任を補充しない限り(あるいは取締役会を廃止するなどの機関変更等がない限り)、その役員は引き続き役員としての権利義務を保持しなさい、ということになります。
いなくなる役員からすれば、任期が満了したのに(あるいは辞任届を提出したのに)その登記がされないという状況が発生してしまいます。登記できずに記録がそのまま残っていると、いざというときに責任が発生してしまう可能性があります。
この場合でも、員数を下回った後、員数を満たすだけの人数が新たに就任することで、従来の「退任」、「辞任」の日付で登記することは可能になります。

なお、「任期満了による退任」や「辞任」についてはこのように規定されていますが、「解任」や、「死亡」が原因となる場合はこのようなことはおきません。会社の方から役員を辞めさせる「解任」のような状況で、その役員に引き続き権利義務を有させるのは妥当ではありませんし、「死亡」に至っては、故人に権利義務を引き継がせるわけにはいかないからですね。

■員数が欠ける場合でも登記出来る例

別例として、代表取締役である取締役が「辞任」しようとする場合、取締役としては員数を欠かないが、代表取締役の員数を欠く場合、どうなるでしょうか。

結論から言うと、この場合は員数を欠かない取締役だけではなく、員数が欠けることとなる代表取締役も含めて辞任することができます。
まず、取締役としては員数を欠かないため、取締役の「辞任」は受理されます。
そして代表取締役については、取締役から選ばれることが前提となるため、代表取締役の員数が欠けてしまうとしても、取締役ではなくなった者が代表取締役を続けることはできません。
よって、このような結論に帰着します。
他に代表取締役がいれば良いですが、この例だと一時的に代表取締役が不在となってしまうため、急ぎ新たな代表取締役を決めなくてはならないでしょう。

■最後に

一言に役員変更と言えども、役員を辞める原因や時系列、当該会社の機関設計など、細かな注意が必要になってくるケースもあるため、状況を正しく把握して手続きを進めていく必要があります。

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