会社役員の呼称として一般的によく耳にするものに、「取締役」という肩書があります。しかし、この「取締役」という肩書は会社法上、「株式会社」において使われるものであり、「合同会社」では使用されません。
合同会社の役員に該当するものとしては、「社員」、「業務執行社員」、「代表社員」といった言葉が用いられます。ここでいう「社員」というのは、世間一般でイメージされる「会社に雇用されて勤務する従業員」を意味するものではない点に注意が必要です。
今回は、そんな混同されやすい合同会社の「社員」等について書き進めていこうと思います。
※なお、以下の記載は「社員」が個人の場合として記載します。
■「社員」
合同会社の「所有者(出資者)」に該当します。その意味では、株式会社における「株主」と同じです。会社の定款変更など、会社にとって重要な決定をする際の決定権を持っています。
「株主」と「社員」の主な違いとしては、議決権に関する考え方や、会社経営への関わり方にあります。
議決権については、株式会社では出資割合によって議決権数が変化するのに対し、合同会社では原則、出資割合によらず一人一票とされています。
経営への関わり方としては、株式会社では出資者(株主)が経営者(取締役)を選任して、取締役に会社経営を委任することが原則となっていますが、合同会社では出資者(社員)が自ら経営も行うことが原則となっています。
なお、後述の「業務執行社員」の項目でも記載のとおり、経営に関与しない「社員」となることも可能です。
■「業務執行社員」
その名のとおり、会社の業務を執行する社員のことです。株式会社でいう「取締役」、つまり経営者に該当します。
前述の「社員」の項目で説明のとおり、合同会社では原則として「社員」が自ら経営者となるよう定められています。そのため、定款で別段の定めをしない場合、「社員」全員が自動的に「業務執行社員」となります。
ただし、定款に別段の定めを置くことで「社員」の一部のみを「業務執行社員」とすることもできます。この場合、他の「社員」は「業務執行社員」にはならず、経営に関与しない「社員」となります。
■「代表社員」
株式会社でいう「代表取締役」に該当します。合同会社の代表者です。
定款で別段の定めをしない場合、「業務執行社員」全員が自動的に「代表社員」となります。「業務執行社員」と同様、定款に別段の定めを置くことで、「業務執行社員」の一部のみを「代表社員」とすることができます。
「代表社員」は「業務執行社員」である必要があるため、経営に関与しない「社員」は「代表社員」となることができません。
■登記事項について
前述のうち、「業務執行社員」と「代表社員」は会社謄本の登記事項となっています。(「業務執行社員」は氏名、「代表社員」は住所及び氏名)
そのため、これらに変更が生じた場合、法務局に変更登記を申請する必要があります。(「業務執行社員」の加入又は退社、「代表社員」の就任又は辞任もしくは退任等)
一方、「社員」であることは登記事項ではありません。そのため、経営に関与しない「社員」については、変更が生じても登記の必要はありません。
■最後に
今では株式会社に並び、会社設立時の会社形態候補として検討されるようになった合同会社ですが、設立が可能となった平成18年から数年間は、各年の全設立会社のうち、10%にも満たない状況でした。
昨今では認知度も広がり、合同会社の数も年々増え、令和6年に設立された会社のうちの約30%を合同会社が占めています。司法書士法人TOTALでも、合同会社の設立、変更登記のご依頼を数多くいただいております。
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